寄附者Interview

Interview_001.

齊藤 宏さん

工学部卒

過去をかえりみて

私はこれまでの人生を振り返ったときに東北大学ボート部で学んだことが、いかに大きなことであったのか認識させられております。ボート競技はイギリスが発祥のスポーツで貴族の若者を鍛えるためのもので「最後まで全力を出しきる」というスポーツです。ボートを速く漕ぐためには強い体力が必要です。また漕手の気持を一にする一心一艇の「和」の精神も大切です。

私がボート部に入部した時は懸垂が全くできない状態で体力面で仲間に迷惑をかけておりました。当時部員は9名でエイトを漕ぐにはギリギリの人数で私の代わりを漕ぐ人はおりません。私がボート部をやめれば練習はまともに出来ないだけではなく試合にも出られないのです。仲間に迷惑をかけないために辛くても体力強化に努力することに決めました。

きびしい鍛錬に直面して身を切られるような思いに悩みつつ士気を鼓舞してやってきました。崩れそうになる自分を自分で叱りつつ必死で頑張っているうちに納得できるような練習が出来るようになり成果が上がってきたのです。それは私だけではなくクルー全員が同じような気運となり一気にモチベーションが高まり、ローマオリンピック出場決定レースでは2,000mを6分を切る新記録で無名の東北大学が圧倒的な強さでローマオリンピック出場を決めたのです。

この経験から苦しくても真面目にコツコツと精一杯の努力を継続しておれば必ず成果があがるのだ、ということと最初は苦しく辛い練習でも成果が上がってくると楽しくなり練習に対する態度が消極的から積極的、自律的になりますます成果があがってくるという事を学びました。この経験から社会人となって活動する際にどれ程の多くの成果をあげることができたか計り知れないものがあります。私は学生時代には文武両道はできませんでしたが社会で活躍できる心身を鍛錬してくださったボート部の監督、先輩、大学関係各位の皆様に改めて感謝を申しあげます。

そして東北大学の青葉山新キャンパスに桜の苗木を寄贈することによって、少しでも恩返しができたことを嬉しく思っております。

斎藤様は、東北大学在学中には漕艇部に所属し、1960年のローマオリンピックに本学のエイトクルーが日本代表として参加した際のメンバーのお一人でもありました。

日本のオリンピック代表チームとなるまでに部活動に打ち込めたのは、先輩方の支えがあったからこそと、その恩返しを自分も後輩たちにしたいとの思いで、漕艇部への多額のご寄附と、青葉山新キャンパス等に多数の桜をご寄贈いただいています。